ルールで禁止


袖まくり


そんなに危険か?
道着の着方D
袖まくりについて

 道着の着方の番外編として、袖まくりについて述べてみたいと思います。

 空手着の上着の袖は一般的な既製品だと少し長目に作られているようです。実用の面で言えば袖の長さは肘が少し隠れるくらいが丁度良いと思います。
 一時、グローブ空手が流行った頃にグローブをつけたままで上着の着脱がしやすいように袖無しの道着が好まれることがありました。好みの問題かもしれませんが、袖無しや二の腕(上腕)の半ばまで切っている半袖の道着は格好いいと思えません。近頃の女の子が浴衣の裾を短くしてミニスカート風にして着ているようなものです。本人はカワイイと思っているのでしょうが、心ある人から見れば「みっともない」格好です。

 私自身は以前には自分に合わせた道着を作ったり(「誂え」ですね)、既成の道着だと袖が長過ぎるので、肘が隠れるくらいの長さで切る「袖の裾上げ」をしていました。
 これが一番機能的だとは思うのですが、今は袖を折り返して着用しています。

 理由は・・・

 私の師範がそうしていたからです。私にとって師範の身なりや仕草はロールモデル(模範)となっており、真似する事で少しでも近付きたいという思いがあるからです。
 以来、稽古前に道着を着用すると袖を折り返すのが習慣となっており、そうしないと鏡に映った自分の姿もどこか締まりなく見えてきます。

 ところが、大会などではルールで「袖まくり禁止」を明記しているところがけっこうあります。

 私が若い頃の話ですが、ある全国大会に出場した時に、特別審判員として招待されていた「世界のK」先生が私の試合コートの監査に付いていて、試合開始直前に「君!」と呼ばれて「折り曲げている袖を伸ばしなさい」と直接注意された思い出があります。

 本来は最適な長さで縫い上げておくのが一番スッキリしているとは思うのですが、「ルール」でそこまで規制するのも野暮じゃないかと思っています。

 肩までまくり上げているとさすがに見映えが悪いですが、適度な長さで調整して折っていてもおかしくないと思うんですが・・・

 こんな疑問を別の道場の先生に漏らしたところ、
「指が引っかかってケガをする危険があるからじゃないですか?」
 と言われました。けれど、何十年と空手をしてきて、組手の最中に折り返した袖に指が引っかかったなんて一度も見たことありませんけどね。

 引っ掛かって組手に支障が出ると言うのなら、道着の前の袷(あわせ)に相手の前蹴りの足が引っ掛かって組手が止まるのは普段の稽古でもしょっちゅう起こります。
 だからといって機能面を優先させてテコンドーのようにスッポリかぶるシャツのような道着にしたらいいなんて、空手をやっている人なら誰も言い出さないですよね?

 だったら、道着の調整で袖まくりをしているくらいは、競技に支障が無ければそれほど目くじらを立てて言うほどの事じゃないと思うんですが、皆さんはどう思われますか。


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