身を守る


礼儀作法


応報の原理
礼儀作法
 この言葉を聞くと何か堅苦しいルールに縛られているように思うかもしれません。しかし、一見すると決められたルールを守るだけに見える礼儀作法にも、実は自らの身を守る意図に基づいたものが多いのです。

 「師範や先輩に礼を尽くし、厳しい規則に従う」
 これが身を守る上で最も重要な心得の一つだと毎日新聞のコラムでC.W.ニコル氏は言っており、礼儀作法を身に付けた紳士に対しては相手も敬意を払うのだというのを自らの体験として語っていました。

 では、なぜ礼儀正しいと身を守ることになるのでしょうか。
 礼儀正しくするというのは回りの人に迷惑を掛けないためのものであり、相手を不愉快にさせないというのが元々の目的です。
 人の心理として、やられたらやり返すというものがありますが、逆もまた真で、してもらった事に対しては恩を感じ、それに見合ったことを相手に返そうとするものです。(これを「互酬性」とか「応報の原理」と言います)

 ですから、礼儀正しく丁寧な対応をされると、相手もそれに合わせた態度でやはり慇懃に対応するようになるのです。
 しかし、それをゴマを擂られているかのように受け取ってしまう人もいるのですが、一般的には、他の人に対して気持ちよく配慮した態度を取る人に対しては、そこにその人の人間性を感じ、それに見合った態度を取ろうとするものです。

 たまーに丁寧な対応をされたことで、相手より自分の方がエラいと勘違いするのがいてますが、そんな奴は必ずそのことで痛い目を見ることになります。
 他人に対して慇懃丁寧な対応を取れる人は、それだけ自分に自信があり、余裕があるからできるのです。ですから、そんな人が本気を出せば相当な力を発揮するのは必然で、普段から虚勢ばかりで威張り散らしているような奴は相手にならないほど力の差があるものです。

 そんなふうに気を抜いて相手に横柄な態度を取る奴は大きなしっぺ返しを喰らう事になります。礼儀正しい行いにはキチンとルールを守る事だけでなく、時と場に応じてマナーを守る事まで含まれます。ルールとマナーの違いについては別で述べる事にしますが、兎に角、ルールだけでなくマナーまで守れる人間は回りから畏敬の念を持って見られます。マナーの所作一つひとつにはそれなりにやり方も決まっているものですが、基本的には人の迷惑にならず、逆に人を助ける心持ちをもって行動すればマナーから大きく外れる事はありません。

 道場内での人間関係を学びの場として礼儀作法を身に着けられるようにしてほしいものです。


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