道着の着方A
ズボンの紐をしっかりと結ぶ
ズボンのウエスト部分は紐の中心が前から回って後ろ部分が二重となり、それを絞って前で結ぶようになっています。
前部には結んだ紐がズレないように通しておく箇所がありますが、メーカーによって
中心に1ヶ所のものと、
左右に2ヶ所のものがあります。
1ヶ所 2ヶ所
紐の結びは、武道では本来
「真結び」(固結び)を用いるものです。戦いの最中に紐が緩んできたから、
「ちょっと待って・・・」などという事はあり得ないからです。
ただ「真結び」(固結び)を用いると、着替える時にほどくのがたいへんで非常に苦労しますから、普段は
「蝶結び」(リボン結び)を用いる人がほとんどでしょう。
真結び 蝶結び
しかし、普通の蝶結びだと動いている最中に緩んでほどけてしまうことがあります。試合中にほどけてしまい審判の指示でズボンの
紐を結び直すのはカッコ悪いだけでなく、武道としても本来
あってはならないことです。
それを防ぐためには
蝶結びで結んだヒモをまとめてもう一度結ぶのです。
(これは軽く結ぶだけで大丈夫です)
マラソンランナーなどでは靴ヒモを同様に2度結びしたり、特殊な結び方をしている人が多いのですが、それを知らずにやっていない人は、ほどけた時に止まって結び直すなどして
時間と体力をロスしてしまいます。
知っている人はやっている簡単な事ですが、知らないと労力を無駄に使ってしまう大切な事です。
下衣の腰紐を絞る位置は、一般に
女性は
ウエストの一番くびれている所で結ぶ人が多く、
男性は
腰骨の位置で止めている人が多いのですが、道場によってはヘソが見えるのは失礼だとしてヘソが隠れる位置まで上げてヒモを縛るように指導しているところもあるようです。
女性 男性
伝統派用の道着を作っているメーカーでは
ハイウエスト仕様の下衣まで作っているようですが、いったい
何の意味があるのでしょうか。そこまで極端でなくても空手着の股上部分は蹴りを出す動きを妨げないように深く作られているのですが、あまり低い位置で穿くと足を高く上げる際に
股の部分が引っかかって邪魔になります。
深く穿かないとこうなる
本来の可動範囲を使えるようにする為にも下衣はできるだけ深く穿いた方が良いのです。しかし、ウエストの高い位置で縛ると腹式呼吸の際に
絞まって苦しい場合もあり、少し下で結びたい時があります。それに、稽古の始めは丁度良い位置に穿いていたはずが、動いていく内に
ヒモが伸びて少し緩んでくるものです。そのたびに結び直すのは面倒だし、しょっちゅう道場の脇で帯を解いて下衣を結びなおしているのも格好良いものではありません。
これに対処するには、紐を結んだ後、
下衣の前の部分を紐と一緒に巻き込みます。こうする事で股上の長さを調節し、自分が一番動きやすいところで下衣の位置を決めることができます。
上部を紐と一緒に巻き込む
また、夏場に
汗をかいた後、下衣の紐を緩める事が難しい場合がありますが、それは下衣の紐を通している後ろの筒状の部分で
紐がねじれているからです。布が乾いている時は多少ねじれていても布が滑るので、稽古前に穿く時には紐を絞る事ができるのですが、汗をかいて道着が濡れると、布同士の
摩擦が一気に増して緩める事ができなくなるのです。
解決策は下衣を穿く時に
後ろの紐が二重になる部分でねじれていないかを確かめてから穿く事ですが、いざ稽古を始める直前に紐のねじれをほどいてから穿くのは
面倒なものです。
ヒモがねじれる 干す時にヒモを伸ばす
一番良いのは、
洗濯して干す時にねじれをほどいて生地をまっすぐにしておくと穿く時にスムーズなだけでなく、
脱ぐ時にもすぐに紐を緩めることができるので快適です。
きれいにヒモを絞るためのポイント
・紐の長さが左右で違わないように均等に調節した後、
前の真ん中を縫っておきます。
・穿く時に紐がねじれないように、
まず前の半分を絞り、その紐を反対側へ引きます。
・次に前部分の反対側を絞り、その分を逆へ引きます。
・その状態なら左右の紐を絞っても内部でそれほどねじれないので脱ぐ時にもスムーズにほどけます。
小さな子供の場合、自分で紐を絞って、緩まないように締めて結ぶのは少し難しい場合があります。メーカーによっては小さいサイズの道着の場合、ウエストがゴム仕様になっているものがあって便利なのですが、礼儀作法を身に付ける事を優先させる指導者は、これを嫌がる事があります。
その場合には普通のヒモ式道着であってもヒモを通す部分にゴムひもを通せば、稽古中にズリ落ちる事がありませんし、
形だけでもヒモを結ぶ訓練はできるので、まだ自分でうまく紐を結べない子供の親御さんはやってみてはいかがでしょうか。
→
「B上衣の着方」へ続く