素質はあるけどヤル気がない

　子供を指導していてとても残念に思うことの一つに、非常にいい素質を持ちながらヤル気の無い子がいる事です。

　大人になってから空手を習いに来る人の場合にはまずありませんが、子供の場合は親が連れてくることが多いので往々にしてそんな事があります。

　もちろん、そんな子も初めは頑張ろうと思ってやっているのでしょうが、元々それほど自分からやりたいと思っていない場合はすぐに飽きてしまい、興味が他へ移ってしまうようです。

　空手の稽古はつらくてしんどい事も多いですし、組手をすれば当然痛い思いもするわけです。ですから、稽古することで自分が上達する事に喜びを見出せない者は、次第にヤル気を失っていきます。

　そんな子がみんな運動神経の鈍い子ばかりかというとそうでもなく、逆に運動神経が良かったり組手をやらせてもけっこううまかったりするんです。

　真面目に稽古したらもっと強くなるのに、と思っていると・・・
　「辞めます」と言ってくるんですよね。
残念ですけど。
　けれど、好みの問題は、結局は向き、不向きの問題なのだと思います。運動能力にどんなに恵まれていたとしても、その種目が好きでないのなら、それは「向いていない」ということになるのでしょう。

　他の人から羨ましがられる素質を持っていても、その方面で活躍する気が無いならまったく関係のないことです。

　空手を稽古することは、単に組手で強くなる事だけが目的なのではなく、そこに自分自身を発揮できる自己実現があるからこそ、生涯続けていけるのだと思います。

　それに気付くまで空手を続けて欲しいと思っていますし、そこに気付いた人は年齢が上がって体力が衰えてきても、空手を続ける事に意義を見出せることができるのです。

　一生継続できるライフワークとして空手道を続けて欲しいと思っていますし、その続ける価値に気付いてもらえたらと思って私は指導をしています。