秋の稲穂


実るほど頭を垂れる
実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな)
詠み人知らず
稲穂は実れば実るほど穂先を垂れ頭を下げることから、君子は学識や徳行が深まるほど謙虚になるものだということ。

上の俳句は偉い人ほど他人対して低姿勢で尊大な所がないということを詠んだものですが、空手の世界でも同じ事が言えます。
空手は実力の世界ですから、力を持った者が上に立つのは当然なのですが、上に行くほどエラぶった態度を取らない人が多いように思います。

本当に強い人は自分に力があることを知っているので、虚勢を張る必要が無いからです。
たまーに空手は強いけど人間的にはダメな奴もいますが、まぁそれはどこの世界でも同じでしょう。
素質だけでチャンピオンにまでなってしまったような人にそんな所があるように思いますが、そんな人はそれ以上にはなれませんね。(もちろん「それ」だけでもたいしたものではありますが。)

「空手」は試合の結果だけがすべてではありません。勢いだけでチャンピオンにまで登り詰めても、そんな人が何度も連覇することは難しいように思います。謙虚に自分の空手を振り返って、より上を目指して稽古できる人間が「武道」としての空手をやっていると言えます。

参加人数が700名程になる少年部の大会で、大会会長を務めさせて頂いている関係から、他から参加してこられた団体の方とご挨拶を交わすことがよくあります。
そんな時、立派な先生はほとんどの場合、謙虚な方が多いです。
(よっぽど自分に自信があるのかもしれませんが、たまーに少し尊大な態度の方もおられます。今売り出し中の団体で勢いに乗っているとか、まだ代表の人が若い場合などにそんなことがあります。)

その大会に初参加してきた団体で支部長をしている方なんですが、まだ現役で試合に出ていて、かなり大きな大会でチャンピオンになっているKさんが代表として挨拶に来られました。
この人はまた特に腰が低かったですね。試合では鬼神の如き形相で相手を叩きのめしている人なんですけどね。

また、これも大会の引率で来られた大手団体の現役チャンピオンTさんが、大会協力で文句も言わずに選手係をやってくれていたこともあります。

上の二人の取っているタイトルはそれぞれ現在の日本のフルコンタクト空手界でトップクラスのものです。

もちろんお二方とも、組織の上の人からきちんと指示されていることもあるのでしょうが、それでもやはり自らがそのように動けるということは、人間が出来ているということだと思います。

本当に強い選手は謙虚です。
誰にも負けないという自信を持ちながらも、自分がまだ未熟であることを知っていて、回りに対して尊大な態度を取りません。

ミレニアムカップでは参加団体に大会運営の協力をしていただくことで、公平かつ平等な判定を目指して運営しているのですが、その協力にあまり積極的でない団体もあります。
お金を払って大会に出場しているのだから手伝いなんてバカらしくてできるか、といった態度がありありと見える方もおられます。
そんなところには大会に参加してもらわなくてかまわないのですが、大会で入賞するという実績だけを求めて試合に出てくる選手がいて、またそれを勧めている指導者がいるのです。

ホント上の二人の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいくらいです。


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