まず正拳を作る事
最近の組手稽古ではパンチンググラブ、シンガードを着用して稽古しているところが多いが、ボクシングと違い空手であるからには素手で叩くことができなければいけない。
鳳雛会では入会者に最初に教えるのは正拳の握りである。
「握り3年」とはよく言われることであるが、キチンとした握りを身に付けるのはかなり難しい。

普通、3年ほど真面目に空手を稽古すれば、だいたい初段程度になっている場合が多いが、黒帯を締めてはいても、キチンと正拳を握れている者は少ない。

熟練した上級者になると開手から突きが当たる瞬間にだけ拳を締めて突くことができる者もいる。
突きが当たる瞬間だけ握る方が良いと教えている道場もあり、それは間違いではない。しかし、ほとんどの者が正確に正拳を作って突けていないことを考えれば、基本稽古の時からしっかりと拳を握った稽古をするべきである。

特に上級者になるほど
「実際に当たった時に握ればいいんだ」
という事を知識としてだけ知っていて、基本稽古で緩んだ拳のまま突きを行っている者が多い。
しかし、初心者が上級者のマネをしたがる事を考えれば、空手道が社会の中で「武道としての教育効果」を期待されていることから考え合わせても、そのような稽古法は慎むべきである。

正拳
小指から握り、人差し指、中指の上を親指で押さえる。そして、いったん力を緩めた後、もう一度握りこむ。特に小指と親指を強く握り込むことによって、力強い拳を作ることができる。
当てる位置は人差し指、中指の第二関節部分、いわゆる拳頭と呼ばれる部分である。
流派によっては親指を人差し指の横に置く握り方で教えているところもあるようである。その理由として、接近戦での下突きの時などに親指が引っ掛からずに拳が入っていくので有効な上、その方が怪我も少なくて良いということである。また、単純に個人の癖として人差し指のみを親指で押さえている人もいる。

しかし鳳雛会では次の理由によって正拳はオーソドックスな握りを指導している。

正拳で拳に一番力が入るのは人差し指と中指の上に親指を置いた握りであると考えられる。それを実感するには拳立て伏せを行えばわかりやすい。
拳頭の二本だけを床に付けてそこに体重が掛かった状態を続けていくと拳が緩んでくる。
親指で人差し指と中指の2本を押さえ、小指を締めることによって拳頭に力が集中するのである。

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