流した汗は嘘をつかない?


センスのある奴に勝つためには

「流した汗は嘘をつかない」
 このセリフは普段の地道な稽古を怠らずに続ける必要性を言う時によく使われます。
 流した汗の分だけ、つまり、稽古した量だけ上達できるという部分は正にその通りだと思います。
 ところが、これを何にでも通用する魔法の言葉のように思うのは間違っています
 試合のように相手がいる場合、結果は相対的なものですから、重なる部分はあるにしても努力さえすれば結果がついてくる(=試合に勝てる)わけではないのです。

 なぜなら、相手も同じくらい(若しくはそれ以上に)汗を流して努力しているかもしれないからです。

 上の言葉は個人の中での上達を言う時にのみ意味を成す言葉です。

 試合に関して言えば、出る試合のレベルが低い間は元々持っている素質やセンスの良さで勝ってしまう奴がいます。
 不器用で中々上達しない者からすると腹立たしい限りなんですが、生まれ持っての身体能力の差はどうしようもない部分ではあります。

 しかし、素質があっても努力しない奴のレベルまでは、努力を続ければ必ず到達できます。それを「あいつは元々できる奴なんだ」諦めてしまうのは、素質と才能のせいにして稽古を続けない者が負け惜しみを言っているに過ぎません。

 勿論、チャンピオンになれるのは、素質があって、更に努力している者です。同じだけの稽古をしたのなら、素質があってセンスのいい者の方が早く強くなります。

 だったら素質に劣っている者は永久に素質のある奴に勝てないのでしょうか。・・・・

 そうです。同じ稽古をしている限り、素質のある奴には永遠に勝てません

 だったら諦めるしかないのか?・・・・

 いいえ、それは違います。
努力の仕方を変えるのです。
稽古のやり方を工夫するのです。
素質のある奴がやっていない稽古をするのです。
そうやって上達する為に違う方向からアプローチするのです。

そして、センスのある奴が数回で「できるようになった」技
何度も稽古を重ねて「使える」技にまでレベルを高めるのです。
 そうやって覚えた「本当に使える技」こそが身に着いたと言える技であり、それによってセンスのある奴を上回る事ができるのです。

 それを忘れて、大会で上位に入る「センスのある奴たち」がやっている稽古を見て、同じようにやれば強くなれると考えるのは浅はかです。
 自分のセンスと能力をキチンと見つめ、コツコツ努力することを忘れてはいけません。

 自分を見失うことなく、しっかり稽古を重ねて欲しいものです。


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