出稽古


利点とマナー
 鳳雛会では出稽古の制限をほとんど行なっておりません。 稽古に来てもらうのも歓迎ですし、こちらからも友好関係にある他の道場へしょっちゅう稽古に参加させてもらっています。

 別のところにも書きましたが、自分のところの技術に自信のない道場は出稽古に行くのも来られるのも嫌がる傾向にあります。

 自分の所に来られると
底の浅さを知られてしまうのではないか?
とか、自分の生徒が出稽古に行くと
生徒が移っていってしまうのではないか?
という不安があるからでしょう。

 もし出稽古に行ってそちらのスタイルの方が自分に合ってると思ったのならば、正式な手続きを踏んで所属を移ればいいのです。
 それをせずに何となく後ろめたい気持ちがあるからこっそりと通ったりして、それが後からバレて引き抜いたとか、生徒を盗られたとかいうような揉め事になるんです。

 空手にはいろんなスタイルがあり、各流派で先生をされている方は自分のやっているものが最高だと思っているからこそ指導者としてやっているのでしょうが、空手を教わる側の全員にとってそのスタイルが合っているということはありえません。
 ある人にとっては寸止めが良いとか、伝統型を華麗にできるようになりたいとかの好みがあり、古流の秘技みたいなものを探求するのが好きな人もいます。

 各流派にはそれぞれの良さがあり、そのスタイルが好きな人にとってはそこが「合っている」わけです。
 たまたま最初に通った道場よりも自分に合った道場を見つけたのならば、そちらに移った方が本人の為です。
 それを遮ったりするのは指導者側のエゴであり、合わない空手をやっている本人は元より、そんな生徒を抱えている道場の発展はもちろん、空手界全体の発展をも阻害していると言えるのではないでしょうか。

 しかし、出稽古というのはあくまでも自分のところの道場で稽古をするのが「」で、他の道場で稽古させてもらうのは「」でなくてはなりません。これを忘れてしまうのは自分のところの先生に対して失礼に当たるだけでなく、出稽古に行った先の道場に対しても失礼なことです。

 出稽古に行くと、相手の道場のカリキュラムに合わせて稽古するのはもちろん当然ですが、来てもらった方はどうしても気を使います。行った先の道場生の人数によっては、相手にミットを持ってもらうことによって、本来そこの生徒が50本蹴る事のできる時間に40本しか蹴れなかったりする場合があるかもしれません。
 それに指導者側からすれば、出稽古に来てもらっている時に怪我をさせてはいけないと思うと、他の道場生よりも意識を向けざるを得ません。
 会費を払って習いに来ている道場生よりも、出稽古に来ている人の方へ指導者の注意が向けられているというのは、決していい状態であるとは言えないでしょう。

 出稽古に行く事は、普段の稽古スタイルとは違う稽古のやり方を身を以って知ることで自分のレベルを上げるのに役立てたり、逆に出稽古に来てもらうことによって自分の道場のレベルを上げるなど、やり方によっては非常に刺激を与える稽古の仕方ではあります。
 しかし、まず自分の道場での稽古をしっかりと行うのが前提であって、自分のところの稽古をいい加減にして、他の道場へ行くのは本末転倒と言えます。

 出稽古を行う中で道場間の交流を深め、相手の道場のいい部分を吸収し、自分のところの足りない部分を補っていく、そのような出稽古であればどんどん活発に行なっていくべきでしょう。


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