紙相撲空手


少年部の組手スタイルについて
最近の少年部のレベルはとても高くなっています。
少年部のトップクラスになれば大人顔負けのコンビネーションもさることながら、パンチとキックの連打に関して言えば一般部の全日本レベルでさえ、あれほどのラッシュを掛けることができる選手は少ないでしょう。

身長180cm、体重80kg以上ある重量級の選手が、少年部の選手と同じくらいラッシュを打ち続けることができたら無敵なのに・・・と思ったのは私だけではないでしょう。

しかし、これは元々大人と子供の肉体的要素の違いが大きく影響しています。
子供は激しい運動で息が上がっても、心拍数がすぐに下がるようになっています。子供が走り回って遊んでいても疲れを知らないように見えるのはそのためです。

しかし、理由はそれだけではありません。

大人の組手になってくると、技を「効かせる」ということが重要になってくるからです。子供の試合では、上段への蹴りがヒットすればポイントとして取りますが、それ以外の場所に技がヒットしても判定にはほとんど関係しません

子供は体重が軽いこともあって、ボディへの蹴り一発でダウンを取ることはあまりありません。中段へのパンチでダウンを奪うとなると、よほどの体力差、レベル差がないとまず見られるものではありません。
それゆえ、ポイントが取られる上段のガードだけを意識するため、上段へ蹴りがヒットすることは更に少なくなります。その結果、手数の多さと勢いで押している方に判定が上がるため、相手の攻撃は上段以外はいくら打たれてもガードせず、自分が攻撃を出すことだけが重要となり、相手に効かなくてもとにかく技を出し続けるスタイルが主流になります。

しかし一般部の試合になってくると、上段だけガードしていればいいというわけにはいきません。下段を蹴られ続けると動けなくなりますし、不用意にボディへ突きをもらうと息が詰まります。そして、どんなに手数が多くてもパワーのある技を一発食らえばそれで勝負が決まります
それを狙っての捨て技、決め技のコンビネーションがあるわけですが、少年部では手数で判定が決まるため、コンビネーションも、どれだけ連続して攻撃を出し続けられるのかということだけが重要視されることになります。

子供の組手では、相手の受けを誘って空いているところに技を決めるとか、受けで崩して自分の攻撃を入れる、などの攻防はほとんど見られません。いかに早く多くの攻撃を出し続けることができるのか、が重要だからです。

試合で勝つことは充分に価値のあることですが、少年部の組手試合を見ていると、しっかりと空手の技術を身に付けるということができていないように思えます。

特に少年部の組手で結果を残した子ほど、成長するに従って大人の組手への変化に対応するのに苦労しているようです。

チャンピオンクラスの子供同士の試合を見ていると、紙相撲カタカタ、トントンやっているのと重なって、いくらそれで判定勝ちしても「空手」としてすごいなぁと思えないんですがねェ。


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