何年くらい前からでしょうか、大会などで優勝した瞬間に
人差し指を立てて上に差し上げるポーズを取るようになったのは。
この新聞記事にもありますように、これはガッツポーズではありません。
ガッツポーズというのはやり遂げた瞬間に
思わず出る仕草であり、それは
無意識から出る感情の発露です。
「ガッツポーズ」の項で述べているように、武道においては感情の赴くままにガッツポーズをするべきではありません。
自分の感情をコントロールすることが大事とされるからです。
武道では許されないガッツポーズですが、他のスポーツで思わず拳を握り締めて自らの勝利に打ち震える姿は
見ていて感動的ですらあります。
昨年のプロ野球日本シリーズで、最後の打者を空振り三振に仕留めた後の田中投手がバックネットを振り返って両手を握り締めた姿は正に
ガッツポーズそのものでした。
けれど、この
人差し指を突き上げるポーズはどうなのでしょうか。
同じく野球ですが、昨年メジャーで大活躍しワールドシリーズで最後の打者を打ち取った上原投手が、高校野球の若造のように人差し指を突き上げていたのですが、他のチームメイトは
誰一人そんなことはやっていませんでした。お互い抱き合って喜びを分かち合うことはあっても、このような態度を取る選手は皆無です。
恐らくは日本でやっている者が多いからノリ的な雰囲気でやったのかもしれませんが、心ある人から見れば
幼稚な喜び方にしか見えません。
私と同じような見方をしている人もいたようで、TV番組の中で苦言を呈している評論家の方もおられました。
せっかく海外で活躍しているのですから、
日本人として恥ずかしくない行動を取って欲しいと思っているのは私だけではないようです。
この
人差し指を突き上げる動作は、高校野球の甲子園大会で優勝したチームがマウンドに集まり、全員が人差し指を立てて空を指して声を上げている光景がTVで大きく取り上げられ、これが放送されるようになって広まっていったのではないかと思います。けれど、この仕草は
「一番」を強調して
「我こそはトップだ!」と
自らの意思で勝ちをアピールする動作であり、自然な喜びや達成感の表れだと感じることは出来ません。
更に言えば、負けた相手を前に大勢で自らの勝利を
これ見よがしにアピールする行為は
「下品」だとさえと感じます。
個人的にはこのような仕草が広まって欲しくないと思うのですが、今の若者にはこれが
格好良く見えるのでしょう。そして、これを
たしなめる指導者もいないようです。けれどこれが感動の場面としてTVで大きく取り上げられるという事は、こういった仕草を容認する人も多いという事なのかもしれません。
野球のようなチームスポーツでは、周りのみんながやっていると自分だけやらないわけにはいかない雰囲気もあるのでしょうが、やはり試合で
負けた相手が目の前にいるという事を忘れて欲しくありません。せめて武道においてはその心掛けだけは持って試合に臨んでほしいと思います。