なぜ、うまくならない


模倣する能力


上達するために
 自分ひとりで稽古していて中々上達できない人でも、うまい人の動きを見て同じように真似することで上達が早くなります。
 それは身体の軸、バランス、足の動き、手の位置など細かい所にまで及び、自分では気付かなかったコツのようなものを、上手な人の動きを真似ることで身に付けることができるのです。
 よく「技は見て盗め」と言いますが、技の動きをつぶさに観察する事で重要なポイントを発見する事ができます。「真似る」「学ぶ」に通じるとはよく言われることですが、自分で何も無い所からアレコレやっているよりも、うまい人の動きを真似した方が早く上達できます。

 ところが中々上達しない人は、この「真似る」事がうまくできません。同じ動きと思って自分では真似しているつもりでも、微妙なポイントに意識が届かないからです。
 「漫然と見ている」から、大事なポイントを見逃しているのです。
 そして更に、見たその技を同じようにやろうとしてもまったく違う動きになってしまいます。見たのと同じ動きを自分で再現しようとしても、自分の手足がどのように動いているかを意識できないからです。

 小さい子どもの内は、向かい合った目の前の人と同じ動きをしなさい、と言っても鏡で見たようにしか動けません。たとえば、前の人が右手を挙げると、自分は左手を挙げてしまうというような事です。
 けれども成長するにつれて、目の前の人は鏡に映っているのではないのだから、右手はこちら側だなどと判断し、頭で理解して動く事ができるようになります。これが客観視できるということです。
 目で見た動きを一旦頭の中で理解するから、次に同じ動きを自分の動作として再現できるようになるのです。
 これはある程度までは成長に伴って自然にできるようになっていくものですが、意識して訓練しないとできるようにならない人も多いものです。

 「真似る」という動作は、人の動きを観察し理解するという前半部分と、頭で理解した動きを同じように再現するという後半の二段階になっています。
 うまく真似ができない子は、まず、うまい人の動きをキチンと見れていません。若しくは、必死で観察しているように見えても、見るポイントがまったく的外れだったりするので大事なところが見えていません
 指導者は、そういう子に「ここを見なさい」と見るべきポイントを指示してやり、見本の動きを少しオーバーアクションで見せたりしてわかりやすく伝えるのです。前半部分の「観察して理解」する部分をクリアすると自分で上達していける人が多いのですが、後半の「動きを再現」する部分がうまくできない人は自力で上達していくのが中々難しいのです。
 自分では正しく動いているつもりなので、動きを訂正する事が中々できません。指摘されても自分ではできているつもりだったりしますから、直さなければならないと思えないのです。
 そういう人はどうすれば上達していけるでしょうか。

一番簡単なのは「素直になること」でしょう。
 言われた事を素直に聞くことができるかどうかです。自分ではできていると思っていても「ここができていない」と言われた時に、「指摘されているということは、できていないのだ」と素直に受け止め正しい動きに直そうと努力する事です。
 そして、手本となる動きをしっかりと観察し、それと同じように動けるように努力する事で上達していきます。

 何より重要なのは自分がうまくなりたいと思う事です。うまくなりたいから、今うまくない自分に足りない所を直そうと努力することができるのです。
 自分からうまくなりたいと心から思う事が、唯一にして最大の上達の秘訣だと言えるでしょう。


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