子供はホメて伸ばすもので、怒ったら本人がヤル気をなくすから、子どもが楽しくやる中で興味を持たせるべきだ。できるだけ
怒らない方がいいんだ。という意見を言う方がおられます。
バカを言っちゃあいけません。
怒られるべき時に
怒られなかった子供は、何が正しいことなのか
学ぶ機会を失っているのです。
一般に子供は、
怒るよりもホメた方が伸びると言われています。
確かにその通りです。
空手でも子供はホメられると喜んでどんどん技を覚え、上達していきます。しかし子供の場合は、自分自身が技を覚えて楽しいということよりも、
親がそれを
ホメてやることによって
満足を得ることの方が大きいものなのです。試合で活躍する子どもなんかは、おそらく試合で勝つことそのものよりも、自分が勝つことで
喜んでいる親の顔を見るのがうれしくてやっているのではないでしょうか。
しかし最近では、この「
ホメて伸ばす」という指導がかなり広まっているせいか、「
怒ってはいけない」と
勘違いしている人がいるように思えます。
今の子供たちは「
体罰はいけない」ということを当たり前の事として教えられてきているせいか、高校生にもなって、
親にさえ「
一度も殴られたことがない」という子が大勢います。また「
友達親子」とでもいうのでしょうか、親に対してケジメのない態度を取る子が多く、親の方もそれを
逆に喜んでいるようなところがあります。
「私達は〜、親子というより〜、兄弟・姉妹みたいなカンジなんです〜♪」
と、うれしそうに話していたりします。
仲がよいのは悪いことではありませんが、一番小さな
社会の構成単位である「
家庭」で、
立場の違いや他者と
ケジメを付けることを学ばなかった子供が、学校や一般社会に出た時に
まわりとトラブルを起こすのは、むしろ
当然の結果なのではないでしょうか。
昔はあちこちにいた近所の
雷オヤジなんていうのも、もはや絶滅してしまいました。今の子供は怒られる経験が少なく、
怒られて学ぶことのできたものが、今は
もう学べなくなってしまっているのです。
怒られる経験をした子の方が、将来的には
必ず幸せになれると私は思います。やっていいのか悪いのかを、
何もわかっていない子供に
「自分で考えなさい」
なんていうのは無責任過ぎます。
やってはいけないことをした時に、
怒られることでそれを覚えていくのです。
怒られて当然のことをしているのに、
子どもだからと許されていたのが、大人になって社会に出たとたん
急にダメだと言われる方が可哀そうです。
何をやっても怒られることのなかった子供が
限度を越して犯罪を犯してしまい、
社会的に落ちこぼれてしまうことがないようにしたいものです。
人間以外で、親子関係を持つ動物が
子に何かを教えるのはすべて力づくともいえるものです。これは、いわば
「体罰」とも言えるもので、もちろん力をセーブしてはいますが、親と子とは違うということを
圧倒的な力の差を使って教えています。
「
殴らなくても言葉で言えば、きちんと
子どもは理解してくれる」なんて言う人もいます。しかし、大人であれば常識として理解できることも、まだ
子どもだから理解できないことはたくさんあります。
もちろん必要が無いのに殴ることはありませんが、
言葉だけですべての指導ができると考えるのは
思い上がりです。
子どもはまだ理解力が足りないから悪いことをしてしまうのです。そんな子に
言葉だけで指導しようと思っても
限界があるということに気付かなければいけません。
やっていい事といけない事の違いをきちんと教えてもらえていない子供はかわいそうです。
ホメた方が伸びるといっても、ダメなものはダメ、やらなければいけない事は
キチンとやらせる事が必要なのです。
空手の技術がウマくなること、技が上達することも重要ですが、空手は
武道として技術以外に
精神的にも成長しなくてはいけません。間違ったことをすればキチンと
叱り、サボっていればしっかりやるように
怒ってやることが必要です。
まだ自分で自分をコントロールできないレベルにある間は、上からの
強い強制力を持った指導で、やらなければならないことを
身体で覚える必要があります。
自分で気付いて動けるようになるのは、
最低限のルールやマナーを覚えた上でのことです。まだそのレベルに達していないのに「
本人の自主性に任せる」なんていうのは、
指導の放棄です。
ホメて伸ばすということと、
やらなければいけないことを覚えさせるということを、
同じレベルで考えていてはいけません。
両者をバランスよく用いることが必要なのですが、世間の風潮では「ホメて伸ばす」ということばかりが強調され、
怒るということが軽く扱われているような気がします。
まだ何もわかっていないからこそ、子供は
厳しく怒られる必要があるのです。