残念ながら


年度末退会者


続けることの難しさ


 毎年、年度末になると退会者が増えます。特に子供は学年が上がることで一区切り付けるという意識が強いため、退会してしまうことが多いようです。

 別の記事にも書きましたが、基本的には本人にヤル気がないなら空手をする必要はないと思っています。

 そうは言っても、少しずつ上達してきた子が「辞めます」と言ってくるとガッカリしてしまいます。

 まだ小学校へ上がるか上がらないかのうちから入会してきて、礼の仕方から始め、手取り足取り突き蹴りを教え、組手もそこそこ形になってきて、これからという頃になって辞めていきます。

 恐らく本人は、回りで強くなる奴を見て、自分には素質がない、だからこれ以上はうまくならないんじゃないかと思って諦めてしまうようです。

 私から見れば、まだまだこれからなのに・・・です。

 確かに中学へ上がるとクラブ活動があったり、また勉強も難しくなってくるので塾へ行くということも多くなるでしょう。
 時間的に制約が多くなってくるのも確かですが、空手を続けようと思っているのならば、続けられないなんてことは絶対にありません

 もちろん空手のような個人種目だけでなく、チームスポーツの団体競技をやるのも人格形成の上で有意義なことですし、空手以外のいろいろな種目をやるのもいいことだと思います。塾で勉強するのも勿論とても大切なことでしょう。

 けれど、週に一度、わずか1時間程度の稽古に参加できないくらい時間が無い中学生なんて、1000人に1人もいません。その他の時間にどれだけTVを見て、どれだけゲームをやって、どれだけ携帯に向かってメールを打ったりLINEを見たりしていることか。

 けれど、そんなことを言って責めても仕方ありません。辞めたいと言ってくる者は既に気持ちが離れてしまっているからです。

 ヤル気のなくなった者には、むしろそういう「エクスキューズ」を与えてやってキリのいいところで辞める言い訳を作ってやった方が、本人のためにはいいのかもしれません。

 しかし、空手を続ける事で得られるものは「組手」の強さだけでなく、精神的な成長の方が大きなウエイトを占めます。できればそのことがわかるまで続けて欲しいと思っているのですが、子供の間はどうしても目先の上達に捉われてしまいます。
これは仕方のないことなのかもしれません。

 それに、私の少年部での指導は少し厳しいところがあります。気持ちの入っていない稽古をしていたり、組手の最中にふざけていたりしたらゲンコツが入ることもあります。

 最近の学校では体罰問題がやかましく言われていますから、他人からそんな風に怒られた経験のない子供が増えていて、怒られることで稽古に行きたくないという子もいるかもしれません。
 体罰と暴力は違う、というのが私の持論ですが、ここでその是非を述べるつもりはありません。
しかし、子供には怒られる権利があると思っています。
 間違ったことをした時に厳しく叱られることで、物事の善悪、やって良い事・いけない事の判断が身に付くからです。

 世界的に「子供の権利」が声高に叫ばれ、日本も「子供の権利条約」に批准していますが、私はその中に「怒られる権利」を入れるべきだとさえ思っています。
 なぜなら怒られることなしに大きくなると、ろくな大人にならないと思うからです。
 本当にその子のためを考えるのなら、子供は怒られるべきだと思っています。

 私の少年部での指導では、他でよく見る子供のお楽しみの時間はほとんどありません。稽古の時間はみっちりと空手を行ないます。空手を習いに来ているのだから、空手の中で上達したり、強くなったりする事に楽しみを見つけてもらいたいからです。

 けれど中々そういう思いは伝わらないようです。
当たり前ですよね。子供はしょっちゅう怒られているのですから。

 できれば、そういう時には親がフォローして励ましてやって欲しいんですが、最近は子供の望むようにさせるのが流行りのようです。

 私は辞めると言ってきた子は、基本的に引き止めません。
 言いに来た時点で既に気持ちは固まっているでしょうし、黙って稽古に来なくなってそのまま自然消滅のように辞めていく者も多い中、キチンと自分で言いに来るだけでも良かったと思っています。言い出しにくい事をキチンと自分の口で伝えることができただけでも、空手を習った甲斐があったというものです。

 たとえ空手を辞めて他のスポーツをしたり、文化系の習い事に移るにしても、小さい頃に空手をやった経験が、大人になってから少しでも役に立つことがあれば、それでよいのではないかと思っています。


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