空手を始める動機


ケンカに強くなりたいでも構わない!?

 中・高生の男の子で空手を始める理由として一番に挙げられるのは

ケンカに強くなりたい

だと思います。子供が空手を始めたいと言ってきた時に親御さんからすれば、そんな不純な動機で、空手を覚えて人に怪我をさせたら・・・と心配する方も多いかもしれません。
 しかし、そんな心配はあまりする必要がないでしょう。なぜなら空手を習っていなくても、人にケガをさせるようなヤツは道具を使ってでも人をキズ付けるからです。
 それなら、そんな奴が空手を覚えたら余計に危ないじゃないかと思われるかもしれません。しかし実は逆に、そんな「危険な子」が空手を習うことによって、必要のない暴力を振るったり、暴れたりする事が減っていくのです。

 しょっちゅうケンカ騒ぎを起こす奴には二通りのタイプがあります。
 まず、自分の力を誇示してまわりを従わせようとする「弱い者いじめ」タイプ。
 もう一つは自分の弱さを知っているがゆえに「やられる前にやってやる」という「逆ギレ」タイプです。
 「逆ギレ」タイプの子は空手を習っていくうちに強さを身に付けることによって、自分に自信が持てるようになるとケンカをしなくなります。というより、する必要がなくなってきます。余裕を持てるようになったということでしょうか。
 心配なのは「弱い者いじめ」タイプの方ですが、こちらはもう少し複雑な経緯を辿って人間的に成長していきます。
 「弱い者いじめ」をする子は、自分の方が強いんだから弱い奴が従うのは当たり前だ、という感覚を持っています。しかし、空手の世界に入れば自分の強さなど、正に「井の中の蛙」。相当自分に自信があったとしても大会に出ればまったく敵わない相手が、いくらでもゴロゴロいることに気付かされます。そして、そんな強い奴に限ってあまりエラぶった態度を取りません。ですから弱い自分がエラそうな態度をとるのがおかしいということに気付いた時、自分の行動が恥ずかしくなってきて弱いものいじめをしなくなるのです。

 だいたい中学や高校生が空手を始める理由として
人格を高めるために
とか
人間形成の一つとして
なんて言ってきたら、逆におかしくないですか?

 わたしは、年頃の子供が「強くなりたい」と思う方がよっぽど自然だと思います。 空手を習ってしばらくすると自分の技にどれくらい威力があるのか、自分がどれくらい強くなっているのかを試したくなってくるものです。道場以外で空手の威力を試されると困りますが、最近は大会という自分の力を試す場がたくさん行なわれています。
 レベルも新人戦や交流大会程度のものから、全日本大会やチャンピオンクラスまで幅広く行なわれていますから血の気の有り余っている子はそんな大会にどんどん参加していけばいいでしょう。

 厳しい稽古をこなしていく事によって頑張る気持ちを自然と持つことができるようになり、我慢することを覚えて精神的に成長してゆくのです。

 ですから、ワンパクな子が「強くなりたい」と言って空手を始めても心配することはありません。親が指導者と一緒にキチンと子供の様子を見守り、しっかり空手の稽古をさせていけば、無闇と暴力を振るうハミ出し者にはなりません。


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