空手着


洗い方とその品質
稽古で使う空手着の洗濯をどのようにしたらよいか悩んでおられる方も多いようです。そこで道着の洗い方と、空手着について少し説明しておきましょう。

・洗濯の仕方

イサミが出しているカタログの中で洗い方が詳しく説明されていました。さすがプロのやり方は違うと感心させられるものですが、日常の使用においては少し煩雑なものだと思います。
そこで一般的にはこの程度でよいのではないかというやりやすい方法を紹介します。

基本的には洗濯機に放り込んで洗うだけで充分です。稽古で激しく使うものを毎回そんなに丁寧に手間を掛けて洗っていられません。(そんなヒマがあったら拳立てでもやりましょう)
ただし、生地が分厚いため、普通の家庭用洗濯機で他のものと一緒に洗うと、洗濯機が回らずキレイに洗えません。子供用サイズなら2着一緒に洗うこともできるでしょうが、大人用だと1着単独で洗わないと無理です。
(最近の洗濯機は容量の大きなものが増えてきたので、各家庭で使っているものによって差はあります。)

夏場は大量に汗をかくので、稽古後すぐに洗わないといけません。湿ったまま置いておくとすぐにカビが生えてしまいます。
冬場はあまり汗をかかないから毎回洗わなくても大丈夫だと思っている人もいるようですが、洗わずにいるとやはりカビが生えることがあります。

いったんカビが生えると菌糸が繊維の中に入り込むので完全に落とすことはできません。漂白をすれば目立たなくすることはできますが元通りにはならないので、そうならないように普段から気を付けてこまめに洗いましょう。

エリのあたりが黄ばむことがありますが、その場合は漂白剤を使います。しかし、塩素系のものを使うと刺繍や織マークまでが脱色してしまいますから、必ず酸素系のものを使うようにしてください。

漂白剤を使わずにキレイに襟の黄ばみを取る方法もありますが、ちょっと手間が掛かって大掛かりになるのでここには記載いたしません。どうしても知りたい方はご連絡ください。

生成りの生地(カタログでは「アイボリー」と表記されている場合が多い)の場合、新品は最初黄色っぽい色をしていますが、洗濯を重ねるごとに白くなっていきます。早く白くしたい場合には、これも酸素系の漂白剤を使うとよいでしょう。

最初から純白の道着は生地の段階で塩素等により漂白処理されているか、蛍光の染料で染められているものです。塩素で漂白されているものはさすがに真っ白ですが、化学薬品で処理されている為、生地が弱くなっていることがあります。蛍光の染料で染められているものは少し青っぽい色に見えます。

・道着は値段が高い方がいいのか?

確かに高い道着は特別な生地を使っていたりしています。吸水性が良くてベタつかないとか、シワになりにくいとかの特性があり、また縫製も日本で行なうことでしっかりしているなどの利点があります。
しかし、その性能、着心地、耐久性などを総合的に考えても、値段に見合っているのかという点では首をかしげるほど高価な場合があります。
生地で言えば、安物は上着が9Aと呼ばれるペラペラのものが多いのですが、11号帆布のものでも上下で3000円くらいからあります。一方、最高級のものは私の知っている中では、一着28000円のものがあります。それだけのものを着る人は当然名前をマジックで書いたりするわけもなく、刺繍でネームを入れますし、会派名を胸に入れたりすると一着で軽く3万円を越すことになります。これでも市販品の最高級ということであり、特注の誂えになるとさらに1.5倍くらいの値段になります。
確かにあまりに安いものはすぐに生地がくたびれてきたり、擦れて薄くなってきたりします。ただ10号帆布などを使った厚い生地の道着は値段が高くなる割に、襟などが堅いために逆に擦り切れやすい場合があります。

安い道着は外国で製作することで工賃も安く上げているため、縫製がいい加減なこともあり、ほころびてきたりすることがあります。しかし、ある程度のランクのものになればそんなに差はないと思います。

使っている生地が生成り(黄色っぽい)のものに較べ、純白の道着は漂白している分だけ値段が高くなりますが、生成りでも洗濯していくうちにだんだん白くなっていきますから、そのあたりは好みの問題になります。

一般的に「やや良い」道着を一万円くらいだとすると、最高級のものはその3倍以上します。
けれど耐久性を見れば、最高級のものが普及品の3倍長持ちするかというと、まずそんなことはありません。せいぜい1.5倍くらいなものでしょう。
私の個人的な意見では、普及品を3回買い換える方が常に新しいものを使っているという感覚になるので気分がいいと思いますけどね。
それに週に何度も稽古をする人は、洗濯して乾かないことも考えると、替えの道着が必要になってきます。値段の高い一着だけをずっと使うより、安い3着を使い回す方が便利ですし、長持ちします。

また帯は基本的には洗いません。 けれど新品の帯は硬くて締めにくいので、2〜3回洗うとなじんで締めやすくなります。ただし、しょっちゅう洗うと色落ちするので、汗で濡れても陰干しするくらいで大丈夫です。夏などニオイが気になるようであれば洗えばいいですが、水ですすぐ位で充分です。

洗ったあとの道着はキチンと畳むべきですが、これが絶対というやり方はありません。昔は畳んだ道着を帯で括り、肩に掛けて道場へ通ったりする姿も見られましたが、最近では皆カバンに入れてくるのが普通ですから、それほど気にせず畳めばよいでしょう。

あまり細かいところまで気にしすぎることもありませんが、稽古に望む姿勢としていつもこざっぱりとした服装を心掛けるようにしたいものです。


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