空手着については以前に
「空手着の洗い方」で一度書いた事がありますが、今度はまた違う視点から道着のサイズについて私の思うところを述べてみたいと思います。
空手着というのは元々は柔道のものを援用して使われるようになったものですが、現在は空手専用の物が使用されています。メーカーによってカッティングも違いますし、またランクによって材質も異なり、値段もピンからキリまでいろいろです。
人によっては
稽古用と
試合用を分けていたり、
型と
組手で違う道着を使い分けている場合もありますが、空手を始める最初の時は、普通、新しい空手着を一着だけしか購入しないものです。
そこで、親御さんが子供の道着を購入する時には、たいてい
「少し大き目をお願いします。」と言ってきます。確かに子供はあっという間に大きくなってしまいますから、余裕を持って長く着られる物をという気持ちもわかります。
そういうこともあって、私は新入会者の子供の場合、やや大き目をお渡しして、ズボンは少し裾上げして使ってもらえるようにしています。
道着の追加注文を頼まれた時には、身長・体重に合わせて最適と思われるサイズを渡しているのですが、特に大人の場合、新しい道着を着た時に
「大き過ぎる!」と思う人が多く、
「1サイズ小さいのに交換してくれませんか?」と言われることがよくあります。けれど、使ううちに縮んで
たいてい丁度良い大きさになっていきます。私自身の失敗から判断して、使い始めは少し大きめでも大丈夫だと判断して選んでいるからです。
大人になるとよっぽど太ったりしない限りサイズは変わりませんから、襟が擦り切れるまで使うこともありますが、
子供の場合は先に
サイズが小さくなってしまいます。
親からすると生地がまだしっかりしているのに、少しくらい小さくなったからといって買い換えるのはもったいないというのもわからないではありません。けれど、
激しく身体を動かす時に着用するものですから、なるべく
体に合ったサイズのものを使ったほうがいいと思います。
だいたい
成長期の子供の服で1年以上着続けられるものなんてほとんどないんじゃないでしょうか。それを考えれば、少し大きめの道着を買って
2年も使えば十分過ぎるほど元を取っているように思います。
元々、空手着は体の動きを制限しない為にゆとりのある作りになっています。ですから多少、縦の寸法が短くなっても
幅には余裕があるので着ることはできます。けれど、小さいサイズを無理して着ていた場合、身体を大きく動かす時に道着が身体を引っ張ってしまい、自由に動けなくなってしまっては
「道着」としての意味がありません。また、逆に動きやすさを求める人は幅の余裕を優先して道着を選ぶため、ズボンの丈が余ってしまう場合が多くあります。
最近の若者は体型が西洋化して脚が長く、また、外国人で空手を習う人も増えてきたせいか、道着の
ズボンが最初から長くて、上着でサイズを合わせると大名みたいになってしまう長さに作られているようです。
(←負け惜しみでしょうか。私はそう思うようにしています)
ズボンが短いのはどうしようもありませんが、長い場合は
裾上げして使えばよいだけですから、何度か洗って縮まなくなってから長さを合わせればよいでしょう。
高級品ではタテ、ヨコのサイズを細かく指定できるものも販売されていますが、
ズボンの丈くらいは
自分で調節すればよいと思います。
道着の生地は帆布(ハンプ)と呼ばれる丈夫な綿が使われています。布地の特徴として、帆布は洗うと
かなり縮みます。昔はその縮みを計算に入れてサイズを選んでいたものですが、最近は仕立てに合わせて選ぶしかできない人が増えてきたせいか、
「防縮加工」を施した製品がよく出回っています。
ところが、これが逆に混乱を引き起こしている原因ではないでしょうか。縮小がゼロならば問題はないのですが、その加工方法の違いで
縮小率が変わりますから、選ぶ時の目安は、
違うメーカーの違う製品ごとに異なります。ですから、その製品がどれくらい縮むかは
試してみなければわかりません。
初めから防縮加工なんか施していない方が、大体の縮みを予測できるってもんです。更に汗の吸水率が高いとか、しなやかな風合いがあるなどを売りにした
化学繊維を混紡した製品などがあり、当然、縮小率も変わってきます。もちろん、特殊加工が多いほど製品の
値段は上がります。製品の質が上がっていくのは喜ばしい事ですが、
「道着は稽古に使うもの」という本来の役割を考えれば、そんな様々な
特殊加工は必要ないんじゃないかと私は思います。
一般的な商品で自分のサイズに一番近いものを購入し、袖やズボンの裾を上げたりして自分に合わせれば良いと思います。
ズボンの裾を切る時のポイントですが、最低5回くらいは洗濯を繰り返して
充分に縮んでから裾上げするようにしましょう。新しいうちに切ってしまってズボンが短くなっている人をよく見かけます。
また、
道着の着方、着こなしについては別で述べてみたいと思います。
ちょっとしたコツでカッコよく、機能的に着ることができるものですが、知らない人も多いようです。